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出版およびプレゼンテーションにおけるハップマップ母集団に言及する際のガイドライン
ハップマップ作成のためのサンプルを提供した母集団を、このプロジェクトの説明、またはプロジェクトによるデータを使用する出版物やプレゼンテーションの中で表現する際には、注意が必要である。
目的
ハップマップのような遺伝的変異の研究において母集団にどのような名前を付けるかは、科学的、文化的、そして倫理的に重要な影響を及ぼす。 科学的見地からは、サンプルが収集源の母集団を的確に表しているかどうかが、適正な研究設計の上で不可欠な要素となる。データを正しく解読するためには、データのソースを正確に表さなくてはならない。 文化的見地から言えば、正確な表現は研究への参加に同意した集団独自の慣例を認めること、またその慣例を尊重することを意味する。 そして倫理的見地からは、正確な表現は研究者が参加者に対して負う義務の一部であり、研究結果が十分に一般化されなかったり過度に一般化されたりする不適切な状況が起きないことを保証するのに役立つものでもある。 母集団を説明する際に不用意な、首尾一貫しない用語を用いることは、これら三つの見地からすべてにおいて不具合を生じさせることとなる。
ハップマップに含まれている母集団は、個別の、小規模な、個人による集団を一つだけ選び出せるように名付けられるべきではなく、またこれらの集団が遺伝子的に特殊で、特別の関心の対象であり、またはその近隣の住民と比較して大きく異なっていることを暗示されてはならない。 具体的すぎる表現も、集団の(または場合によっては、サンプルドナー個人の)プライバシーの利害を侵害する恐れがある。
その一方で、母集団を説明する際に意味の広すぎる用語を使用しては、不適切な意味で過度な一般化を招くことになる。 これは、ハップマップデータの使用者に、地理(ハップマップのための母集団を特定する際の基準)と人種(大部分が社会的に構築されたカテゴリー)とを同等と考えるような誤った方向性を示すことになりかねない。 ひいては社会的・歴史的固定観念を増幅させ、プロジェクトにおける母集団またはそれと関係の深い母集団の構成員が少数民族であった場合、集団的な非難や差別につながる恐れもある。
この文書に示されたガイドラインは、上記のような考察を念頭に置いている。 また、本書には特定の集団から収集されたサンプルについて、少なくともサンプルを提供した母集団がある出版物やプレゼンテーションにおいて言及される場合にどのような名で呼ぶかについて、その集団において広範囲にわたって検討した過程で、一部の集団から得られた知見も盛り込まれている。
推奨される記述
ハップマップに含まれる母集団を名付けるにあたって推奨される的確な言語(各母集団の地理学的祖先と、その母集団からサンプルが収集された地理学的な位置付けの両方を反映させたもの)は:
個々の集団の省略名が決まりました。Yoruba は YRI、Japanese は JPT、Han Chinese は CHB、CEPH は CEU となります。
ただし、こういった略標識を使用する前に、各母集団の的確な説明を必ず示さなくてはならない。
これは、研究結果の過剰な一般化に伴うリスクを避けることに役立つ。
サンプル集合は「正規の対照条件(normal control)」において収集されたものであると表記されてはならない。 表現型情報はどのサンプルについても収集されておらず、彼らがどのような特徴を示していたかについては知りようがないからである。
母集団の構成員として選ぶ際の基準の表現
母集団について最初に言及する際には、各母集団について記述することに加え、各母集団の構成員として選ぶ際の基準も記すべきである。この際の適切な説明は次のとおり:
各母集団についてのより詳しい参考情報
これらのサンプルはナイジェリア、イバダンの特定のコミュニティにおいて、四人のヨルバ族の祖父母を有すると名乗る個人から収集された。 これらのサンプルのソースを説明する場合、コミュニティの希望を尊重する意味でも、「ナイジェリア、イバダン」に言及することは重要である。 また、これら特定のヨルバ族のサンプルが収集された国名と都市名を入れることは、サンプルが必ずしも(複雑な歴史的背景を有する)ヨルバ族全体を代表するものではないという点を強調することにもなる。 これらのサンプルを単に「アフリカ人」、「サハラ以南アフリカ人」、「西部アフリカ人」または「ナイジェリア人」などと表現してはならない。 これらの表現はいずれも、地理学的に異なる祖先を有する多くの母集団を包含するものだからである。また、「ヨルバ族の」という形容詞形がYorubanではなくYorubaであることにも注意すること。「Yoruban samples」ではなく「Yoruba samples」である。アクセントは最初の音節に置く(ヨルバ)。
これらのサンプルは東京首都圏において、自身が(またはその祖先が)日本の様々な地方の出身である個人から収集された。 日本では、祖先の出身について尋ねることは文化的に一般的でないと考えられている。そのため、ドナー候補には、目的は祖父母がすべて日本の出身である人のサンプルを含めることであると伝えられた。 これらのサンプルを単に「アジア人」または「東アジア人」と表現してはならない。これらの用語は、祖先が日本以外の場所から来た多くの母集団を包含するものである。
これらのサンプルは北京師範大学に通う人々が住むコミュニティの住民で、四人の祖父母のうち少なくとも三人が漢民族系中国人であると自己申告した人々から収集された。 北京師範大学に通う人々は中国の様々な地方の出身者であるが、このサンプル集合は公式に確認された56の民族を有する中国人全体の代表として選抜されたわけではない。 日本からのサンプルと同様、このサンプルについても単に「アジア人」または「東アジア人」などと表現してはならない。
これらのサンプルは、北ヨーロッパや西ヨーロッパから来た祖先を持つユタ州の住民から収集された。 「CEPH」という言葉は、Centre d’Etude du Polymorphisme Humain(ヒト多型研究センター)の略であり、この組織は1980年にこれらのサンプルを収集した。 ドナー候補として集団の構成員を指定する際、地理学的な祖先の基づいて正確に行うことの重要性は、1980年当時は十分に理解されていなかったため、これらのサンプルが北ヨーロッパおよび西ヨーロッパの祖先を持つ人々の遺伝的変異のパターンをどの程度正確に反映しているかは明らかでない。 これらのサンプルを「ヨーロッパ人」と表現したり、ヨーロッパの他の部分(南ヨーロッパや東ヨーロッパなど)からの祖先を持つ人々を代表していると見なされてはならない。 また、サンプルを「コーカソイド」などと表現してはならない。この用語は限外に人種的な意味を付帯しており、また専門的には黒海からカスピ海の間の地域の出身者のみを指すものである。
| Last updated : citinghapmap.html.ja,v 1.5 2005/06/20 15:10:51 krishnan Exp |
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